1 自計化ってナニ?
おそらく「自計化」で広辞苑を引いても出ていないと思います。それは中小零細企業の記帳・経理業務
に関する会計業界用語で、「パソコンの導入を前提として、預金通帳や領収証から直接コンピュータへ
入力し、試算表や元帳・出納帳などの帳票を自社で作成すること。」とでも定義されます。
パソコンがこれほどまで実用的になった経緯を簡単に振り返っておきたいと思います。平成7年11月
にWindows95と言うOS (Operating System)が世にリリースされたのが起因となりました。すなわち、各メ
ーカーのハードウェアとソフトウェアが互換性を持ったこと、PC上で同時並行作業(たとえば、プリントア
ウトしながら文書を作成したり、ゲームをしながら表計算をしたりとか・・・)が可能になったこと、LSIの小
型化により機能が格段に上昇したこと、さらにはUSB端子の普及により周辺機器との接続が簡単にな
ったこと、などが複合的に挙げられます。
さて、時代は前後しますが、当所が最初に会計専用機であるI社のオフィスコンピューターを導入したの
が昭和57年6月でした。当時は高級乗用車くらいの価格だったことを覚えています。また同じ頃にワープ
ロ(日立ワードパル)を導入しましたが、やはり軽自動車くらいの値打ちがあったと記憶しています。「オフ
ィス革命」という言葉もこの頃から盛んに聞かれるようになりましたが、まさか十数年後にこんな状況に
なるとは全く想像もつきませんでした。
2 自計化のメリット・デメリット
さきほど「自計化」はパソコンの導入が前提であると言いました。すなわち、パソコン会計を自社で実施
することが自計化とも言えるわけですが、ここではパソコン会計のメリットとデメリットについて考えてみた
いと思います。なお、「手書き会計」はパソコン会計の対極になります。
パソコン会計と手書き会計の一長一短
| . |
パソコン会計 |
手書き会計 |
@ 会計処理の
迅速性・正確性 |
◎ |
△ |
| A 経理担当者の事務負担 |
◎ |
△ |
| B 分析・作表等への応用性 |
◎ |
△ |
| C データ保管の必要性 |
△ |
◎ |
| D 初期投資の必要性 |
△ |
◎ |
| E 機械とソフトの操作理解 |
△ |
◎ |
◎はメリット、△はデメリット を示す。
上記一覧表の「比較項目」について補足説明をしておきます。
@ 入力画面上で、正確にデータさえ入力すれば集計ミスは絶対にない。しかし、入力ミスをしたら、
貸借平均の原理が働かないので誤りがチェックできない。
A 簿記の全体像(一連の手順)を理解していなくても、入力さえすれば自動的に作表と記帳できる。
しかし、トラブルがあったら対処できない。
B 一度入力をすると、伝票起票→元帳転記→試算表→財務諸表→経営分析と自動的に作成してく
れる。しかし@とも絡むが、初期入力を誤ると裏付けのない書類が出力されることになる。
C 定期的にデータのバックアップ(コピー)を取っておくことが必要です。極端な場合には、キーボード
の操作を誤ったために、一日かかって入力したデータを1秒足らずで消去してしまうこともあります。
何事も慣れと慎重さが必要です。
D パソコン本体、モニター、キーボード、プリンター、そして適当な会計ソフト、それに何より電気が
必要です。なお、最近は量産体制が整いハードはかなり安くなりました。
E パソコンは、操作ができなければ「ただの箱」です。ハード面の操作方法を覚えたら、今度は会計
ソフトの入力方法等を理解する必要があります。
若い頃 (半世紀前) は、証憑を整理して自社で会計伝票を起票してもらうのが大変だったと、所長から
よく聴かされましたが、時代が変わって、今や会計ソフトのメーカーは、「簿記が分からなくても領収証から
パソコンへ直接入力すれば即座に帳票が出来上がり!」と宣伝しています。
しかし、ハードやソフトがどれだけ便利になっても、情報データを取捨選択して判断して、そして入力す
るのはわれわれ人間です。
当事務所では、無理にパソコン会計をお奨めしているわけではありません。
特に個人事業者の方や法人事業者でも零細規模の場合には、必ずしもパソコン会計が必要だとは思い
ません。そんなわけで、パソコン会計を絶対視することなく、しかしそのメリットを軽視せず、皆さんの状況
に合わせた自計化のお手伝いをさせていただきたいと思います。
文責:堀 裕彦
3 市販会計ソフトの比較
日々の経理をパソコンで行う場合は、「会計ソフト」が必要になります。現在ではいろんなメーカーから
100とも200とも言われる数多くの会計ソフトが発売されてますが、一体どれを選べばいいのでしょうか?
ここでは、一般に市販されている「会計ソフト」の中から実際に当所で操作したものを選んで比較してみ
たいと思います。
| 会計ソフト |
長 所 |
短 所 |
弥生会計
弥 生 |
@ 価格がリーズナブル
A 部門管理が可能
B 経営分析機能なども充実
|
@「勘定コード」がなくテンキー
操作による高速入力不可
※これって案外ポイントかも!
|
勘定奉行
慣ービックBC |
@ 安定性、信頼性が高い
A 大量の事務処理にも対応可
B 部門処理も可能 |
@ 販売価格が少し高い。
A 奨解像度がXGA(1024×768)
なので、ノートPCだと少し辛い |
PCA会計
ピー・シー・エー |
@ 安定性、信頼性が高い
A 仕訳辞書が使い易い
B 経営分析機能なども充実 |
@ 販売価格が少し高い。
A 多少の簿記知識が必要 |
出納帳3
鞄本デジ研 |
@ 価格がリーズナブル
A 初心者向きで操作が簡易
|
@ 入力形式が多様でない
A 経営分析機能が不十分 |
4 会計ソフト選択時のポイント
★ 将来の変化を想定すること
会計ソフトは一度採用すると案外乗り換えに手間やスイッチング・コストがかかる代物です。
目先の
価格(安さ)や人気だけにとらわれず、会社が成長したり業態が変化した場合の拡張性をある程度視野
に入れておくことも重要です。
★ 応用機能に惑わされないこと
最近の会計ソフトには様々な応用機能が付いています。たとえば、「資金繰表」「経営分析」「グラフ
機能」「回収予定表」「支払予定表」等々です。専門家の経験則から言って、これらの機能を利用する
ことは稀にしかありませんし、「経営管理機能」などは企業それぞれの個別事情を考慮しなければなら
ず汎用ソフトの分析ではあまり役に立ちません。大変アバウトなのです。
★ 操作性の評価には個性が反映されること
操作性は個人の好みによるところが多分にあり、ある人が不都合だと思う事が別の人には好都合だ
と感じるように、同じ会計ソフトであっても操作する人によって、評価が異なるのもよくある事です。
専門家の立場から言えば、“Simple is Best!”です。初期設定やデータ・バックアップなどは再々起
こる事ではありません。やはり日常データ入力において操作性の高いものを選択することをお奨めしま
す。たとえば、入力時にマウスとキーボード(主にテンキーボード)を使用する
ソフトが大半ですが、経験
則では、キーボードだけで入力するのが圧倒的にスムーズで効率的です。
5 当所のお奨めソフト
「経理上手くんSP」(日本ICS) 52,500円 (税込)
この会計ソフトは市販されておりません。従来、会計事務所専用のソフト会社が作成した会計ソフトで
す。このソフトは私たち会計専門家が使用するものと全く同じ入力方式を採用しており、大変シンプルで
使いやすく、さらに市販会計ソフトでは結構面倒な「摘要登録」や「科目対応摘要登録」「勘定科目登録」
などを入力中に併行する事も可能で、その都度設定画面に戻る必要がありません。また、キーボードだ
けで入力が出来ますので(マウス併用も可)、スムーズかつ効率的です。最新バージョンでは通信機能も
標準装備され、私たち当所とネットでのデータやり取りも可能となり、リアルタイムな監査環境を提供でき
るようになりました。
なお、上記の「経理上手くんSP」の他、特に出力機能を強化した「経理上手くんDX」(価格105,000円)
や、プロ仕様の「経理上手くんProU」(157,500円)も用意されていますので、事業の発展に応じてグレード
アップも可能です。
もちろん、当所では「弥生会計」「勘定奉行」「PCA会計」「クイックブックス」「出納帳」等の市販ソフト
にも対応しておりますが、これから会計ソフトを導入される方には自信を持って「経理上手くんSP」を
推薦します。
文責 山本雅彦
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