
| 事務所便り 11月号/平成20年 |
● 総 合 −金融機関に提出する事業計画書の作成のポイント − 金融機関から資金調達をする際、事業計画を作成して交渉しなければならない場合がありますが、 その際、どのような点を強調すればよいのかについて、以下にまとめてみました。 金融機関からは資金調達をする際に、主に必要とされる書類には以下のようなものがあります。 @ 決算書(2〜3期分) A 納税証明書 B 試算表(なるべく最新のもの) C 商業登記簿謄本(履歴事項証明書) D 事業計画書 この中で、未来のビジョンを語るもの、自社の意思で創り得るものといった観点から『事業計画書』 に焦点をあて、その作成ポイントを見ていきます。 大きく分けてポイントは以下の3点です。 (1) なぜお金が必要なのか、 (2) どのように返済していくのか、 (3) 万が一のときはどうするのか この3点を具体的な根拠とともに明示することが必要です。貸す立場になって作成してください。 (1) なぜお金が必要なのか 資金需要は大きく分けると、設備資金と運転資金の2つと考えられます。つまり、長期的に使用 する「物」を購入する資金か、それ以外の資金かということです。どちらにしても、事業計画書を記 入する際には「この資金を活用することで利益が増える」と金融機関に印象付けなければいけま せん。 (2) どのように返済していくのか 返済原資は、原則的には売上・利益を伸ばして確保するものです。具体的な根拠とともに、 売上・利益がいつまでに、どの程度伸びるか、前向きな見込みを明示することが必要です。 一方、返済スケジュールですが、これは余裕をもって確実に返せる見込みで計画します。あく まで最終的には金融機関の意向も踏まえたスケジュールということにはなりますが、計画よりも 売上や収益が多少下方に振れても問題なく返済できる程度の期間を見込んでおくとよいでしょう。 (3) 万が一のときはどうするのか 金融機関側もうまくいく話だけよりも、うまくいかないときの話があった方が、より現実実をもっ て案件に取り組んでくれるというものです。 万が一のときには、保有資産を売却するのか、担保処分や保証人による返済をするのか、当 然のことではありますが、十分な検討ならびに準備をしてから融資を依頼することが大切です。 中小企業をめぐっては、金融機関が去年9月以降、中小企業向けの融資を減らす傾向にある ことから、資金繰りが一段と厳しくなっており、信用収縮が懸念されています。 このため、金融庁は、経営内容が厳しくても再生可能性があると金融機関が判断した中小企業 に対し、『劣後ローン』という貸し出しの手法を使って融資しやすくなる仕組みを整えることにしま した。 劣後ローンとは、他の特定の債権又は一般の債権より支払い順位が劣るローンのことをいいま す。融資先が解散したり破綻した時に負債をすべて支払った後、資産が残っていれば債務が弁 済されることになります。リスクが高いため利子が通常より高くなりますが、株式(特に無議決権 優先株)に近い性質をもっているため、自己資本の一部とみなされることになります。この制度は 日本では1990年から解禁されました。 劣後ローンは一部自己資本に算入できるため、バブル崩壊後、銀行・生保などで用いられまし た。また公的資金にも一部この方式での資本注入が行われたことは記憶に新しいものとなって います。 劣後ローンの融資を受けた中小企業の立場で考えれば、同ローンが取引先金融機関の評価 上、負債とみなされないため、資金調達の枠が広がる可能性が高まります。 つまり、「劣後ローン」は、通常の債務より返済順位が低いため、この資金を企業の自己資本 に組み入れることができるという特徴があり、これまでの債務を劣後ローンに借り換えることで 財務基盤を強化することができることとなります。これによって、金融機関は財務内容の悪化を 理由に追加的な融資ができなかった中小企業に対し、貸出しを増やすことができるため、金融 庁は中小企業向けの資金を円滑に供給できるとみています。金融庁は今後、金融機関の検査 マニュアルの中でこうした手法を活用できることを明確に示すことにしています。 |