● 税 務 − 役員給与に関するQ&A(明確化された定期同額給与の取扱い) − 平成18年度税制改正により、法人の役員給与に関する規定が改正され、平成18年4月1 日以後に開始する事業年度から適用されています。役員給与の決め方に関しての大改正で あったため、実務上大きな話題となっていますが、疑問点も多く発生しており、国税庁のホー ムページ等で追加情報も公開されてきていますので、このうち定期同額給与について、明確 化された部分を説明します。 Q1 定期給与の額を改定した場合の損金不算入額 甲社(年一回3月決算)は、平成19年1月から役員Aの給与を月額30万円増額しています。 このように、定期給与の額を事業年度の中途で改定した場合には、その全額が定期同額給 与に該当しないことになるのでしょうか。なお、甲社は、事前確定届出給与の届出は行ってい ません。 A 法人税法の規定では、役員に対して支給する定期給与(その支給時期が一月以下の一定 の期間ごとであるもの)の額につき、事業年度の中途で改定が行われた場合は、その改定に 係る定期給与のうち、次に掲げるものについては、定期同額給与に該当し、原則として損金の 額に算入されることとされています。 @ 定期給与の額につき、当該事業年度開始の日から三月を経過する日までにその改定 がされた場合における次に掲げる定期給与 ア) その改定前の各支給時期における支給額が同額である定期給与 イ) その改定以後の各支給時期における支給額が同額である定期給与 A 定期給与の額につき、当該法人の経営の状況が著しく悪化したことこそその他これに 類する理由によりその改定がされた場合(減額した場合に限り、@を除く)の当該事業年 度のその改定前の各支給時期における支給額及びその改定以後の各支給時期におけ る支給額がそれぞれ同額である定期給与 以上からすると、中途改定は@、Aに該当しない場合、原則として全額損金不算入と なります。ただし、増額後の各支給時期における支給額も同額であるような場合は、従 前からの定期同額給与とは別個の定期給与が上乗せされて支給されたものと同視し得 ることから、上乗せ支給された定期給与とみられる部分のみが損金不算入とされます。 Q2 役員の分掌変更に伴う増額改定 乙社(年一回4月決算)では、代表取締役Bが急逝したことから、平成18年11月に臨時 株主総会を開催し、取締役Cを代表取締役に選任するとともに、Cの役員給与を月額50万 円から前任者Bと同額の月額120万円に増額改定する旨の決議を行いました。この場合、 乙社がCに支給する役員給与は定期同額給与に該当しないことになりますか。 A 原則的には、定期給与の改定が事業年度開始の日から三月経過日までに行われたも のでないから、定期同額給与に該当しないように思われます。しかし、代表者の急逝という やむを得ない事情により、役員としての職務内容、地位が激変し、実質的に新たに役員就 任したのと同様の状況にあると認められる場合には、定期同額給与として扱われることとさ れるようです。 Q3 一定期間の減額 丙社は、取締役Dが統括する部署における法令違反により行政処分を受けたことから、 その社会的な責任に鑑み、臨時株主総会において、取締役Dの定期給与の額を三カ月間 20%減額する旨の決議を行いました。この場合、丙社が支給する役員給与はその全額が 定期同額給与に該当しないことになのまか。 A 特定の役員の不祥事等により一定の期間のみ役員給与を減額し、当該期間経過後は、 減額前の給与の額を支給するというような場合には、各支給時期における支給額が同額 でないことから定期同額給与に該当しないように思われます。 しかし、企業秩序を乱した役員の責任を問うべく、一定期間の役員給与の減額処分を行 うことは、企業慣行として定着しており、これを同額の定期給与の支給と取り扱わないとす れば、実態からかけ離れることにもなりかねません。 また、いったん支給した定期給与をその役員が自主的に返還した場合には、定期同額給 与として取り扱われるところ、その実質かせ同じである役員給与の減額処分について異なる 取扱いとすれば著しくバランスを失います。 このことから、役員給与を一時的に減額する理由が、企業秩序を維持して円滑な企業運営 を図るため、あるいは法人の社会的評価への悪影響を避けるために、やむを得ず行われた ものであり、かつ、その処分の内容が、その役員の行為に照らして社会通念上相当のもので あると認められる場合には、減額された期間においても引き続き同額の定期給与の支給が行 われているものとして取り扱うことができます。 ● 総 合 − 扱いやすくなっている「少額訴訟制度」 − 少額訴訟制度を利用できるのは、60万円以下の金銭の請求(商品の引渡しや家屋の明け 渡しの請求、夫婦や家庭のトラブルは利用できません)に限られています。 ただし、利息や遅延損害金はこの上限に含まれませんので、合計60万円を超えても構いま せん。 本当は100万円の請求であっても、訴訟を二回に分けて、例えば、一回目を60万円、二回 目を40万円として請求することもできます。 少額訴訟は一回で審理を終了させますので、内容が複雑なトラブルには向いていません。例 えば、鑑定人をたてたりするようなケースは難しいといえます。 費用は、請求額が60万円で、6千円の印紙代と裁判所が書類送付に使用する切手代となっ ています。 |
| 事務所便り 5月号/平成19年 |