● 税 務 −改正された 減価償却制度のポイント − 平成19年度税制改正により、平成19年4月1日以後に取得をする資産から、減価償却に関す る取扱いが大きく変わっています。 具体的には、今まで重要な計算要素であった残存価額と償却可能限度額が廃止となり、法定耐 用年数内において取得価額を全額(備忘価額として1円は残す)償却することが可能になりました。 この改正の趣旨は、国際比較すると不利になっていた制度を改め若干有利にして、企業の新規設 備への投資への投資を促進し、国際競争力の強化、日本経済の持続的成長を意図したものです。 以下、ポイントを具体例を用いて説明します。 T 概 要 (1)残存価額の廃止 平成19年4月1日以後に取得をする減価償却資産について、残存価額が廃止されます。 そうなると、定額法や定率法の計算においては、残存価額を考慮しません。定率法においては 残存価額をゼロとすると定率法の償却率が算出されない仕組みのため、250%定率法(定額法 の償却率×2.5倍の償却率)とされています。 (2)償却可能限度額の廃止 平成19年4月1日以後に取得をする減価償却資産については、償却可能限度額を廃止し、耐 用年数経過時点に1円(備忘価額)まで償却できることとなりました。 定率法を採用している場合には、定率法により計算した減価償却費が一定の金額を下回るとき に、償却方法を定率法から定額法に切り替えて減価償却費を計算することになります。これは250 %定率法をずっと採用していると、耐用年数経過時点で償却が完了しないからです。 (3)平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産 従来よりの旧定額法・旧定率法により計算し、償却可能限度額(取得価額の95%)まで償却し た事業年度の翌事業年度以後、5年間で均等償却できる(備忘価額1円残す)こととされています。 U 前期において償却可能限度額まで償却済みのケース 平成19年3月31日までに取得した減価償却資産については、従来の減価償却の方法(旧定額法 又は旧定率法)で減価償却を行い、償却可能限度額(取得価額の5%)に達した事業年度の翌事業 年度以後5年間で均等償却することができます。具体例を示すと設例1のようになります。 V 平成19年4月1日以後取得する減価償却資産(定額法) 残存価額、償却可能限度額がなくなるので、設例2のようになります。 W 平成19年4月1日以後取得する減価償却資産(定率法) 定率法の償却率が2.5倍となり、耐用年数で償却を完了させるために中途で定率法から定額法へ の変更が行われます(設例3参照)。 なお、この償却方法の変更時点の目安がわかるように図表に示した減価償却資産の耐用年数等に 関する省令の別表10では、保証率というものを公表しており、定率法による償却費が取得価額にこの 保証率を掛けた金額未満になったら、定額法を用いることがわかるようになっています。 --------------------------------------------------------------------------------------- 条 件 ・対象固定資産 機械装置 ・取得価額 10,000,000円 ・法定提要年数 5年 設 例1 改正前取得で償却可能限度額まで償却済みのケース(定額法) ・償却可能限度額 : 9,500,000円(取得価額の95%相当額) ・期首減価償却累計額 : 9,500,000円 償却可能限度額950万円←← →→当期以後5年間 10万円ずつ均等償却 ※ 当期以後、取得価額と償却可能限度額との差額50万円を、10万円ずつ5年間で償却できます (最終年は99,999円)。 設 例2 改正後取得のケース(定額法) ・償却費 : 10,000,000円 × 0.2 = 2,000,000円 (取得価額) (償却率) ※ 改正前と比較すると、年間減価償却費が20万円増え、償却額も事実上取得価額の1,000万円 まで償却が可能となります(最終年は1,999,999円)。 設 例3 改正後取得のケース(250%定率法) ・定率法の償却額 1年目の償却額・・・1,000,000円 × 0.5 = 5,000,000円 累計額・・・5,000,000円 2年目の償却額・・・(10,000,000円−5,000,000円)×0.5=2,500,000円 累計額・・・7,500,000円 3年目の償却額・・・(10,000,000円−7,500,000円)×0.5=1,250,000円 累計額・・・8,750,000円 4年目の償却額・・・(10,000,000円−8,750,000円)×0.5=625,000円 累計額・・・9,375,000円 5年目 @(10,000,000円−9,375,000円)×0.5=312,500円 A10,000,000円×0.006249(保証率)=624,999円 B @<A ∴定額法 償却額・・・(10,000,000円−9,375,000円)×1.0(改定償却率)−1 円(備忘価額) =624,999円 累計額・・・9,999,999円 ※ このケースにおいては、5年目に改正定率法による償却額(312,500円)が取得価額に保証率を 掛けた金額(624,900円)を下回るので、5年目は定額法を採用することになります。 図 表 新設された別表10
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| 事務所便り 7月号/平成19年 |