● 経 営 −信用保証協会の保証判定 − 自治体の融資を利用する際の手順について説明しましょう。 中小企業経営者の皆さんは、先ず、各自治体の融資相談係を訪ねると、役所の職員か手 助けとして同席している商工相談員に必要な提出書類とか融資の仕組み、流れ(=手順)と いった説明を受けます。 提出すべき書類は、自社の決算書(個人事業者については青色又は白色申告書)二期分 と、納税証明書等です。 さて、仕組みや手順ですが、自治体の融資は信用保証協会の保証を受ける融資(制度融 資といいます)であり、手順につきましては2通りあります。 1. 申込みに必要な書類を信用保証協会に提出し、保証協会の融資審査を受け保証を 取り、その後、民間金融機関に回してもらい融資を受ける場合。 2. 民間金融機関(以下、銀行)に書類を提出し、銀行が審査して貸出しの可能性のある ものを信用保証協会に持ち込み、保証を取りつけてから融資を受ける場合があります。 ここ数年、通常の流れは上記2のパターンのケースが多く、銀行は信用保証協会に書類を 送付し、保証を受けた案件だけを融資しているということです。 したがって、融資を受けるポイントは、信用保証協会が決算書をどのように判定するのか、 という内容になります。 ☆1 決算書が赤字かどうか! 経営者の方が自治体の受付でよくする質問は、「うちは赤字決算だが貸してくれるのか」 というものです。 自治体の窓口では「貸してもらえる場合もあるし、もらえない場合もあります」としか答えよ うがありません。 ※ケース@ B社は創立後10年目にして初めて赤字になりました。11月に賞与等の年末資金1,000 万円の融資を創業以来のお付き合いのある信用金庫に申し込みました。 ところが赤字決算での融資申込みを見て、顔見知りだった融資担当者の態度は一変! ”今後の返済計画及び資金繰り表を提出されたい”の一点張り。 B社長は初めての経験に困惑、自治体の融資相談員を訪ねたのです。相談員に資金繰 り表の作成、返済計画を教わると同時に、自治体の商工融資を申し込んだところ信用保証 協会の保証を得た上で、希望額の1,000万円の融資を受けることができました。 B社長はつくづく企業は黒字にしなければならないと思ったそうです。 ※ケースA 上記@のケースのように一期だけ赤字になると融資を受けるのに苦戦する企業もあれば、 一方では、毎年赤字決算なのに融資を受けている企業もあり、疑問が生じます。 これは個人事業の色彩の強い企業に多く見られる現象です。 実際には収益があるのに税務上、赤字を計上し、収益は個人的に蓄積して資金繰りに困 らないケースと、担保となる資産があるので、銀行から融資を受けて何とか経営を続けてい るケースがあります。前者のケースは役員報酬を多くとり赤字となっていますが、いざとなっ たら個人の余裕資金から返済するというものです。 この場合、銀行は返済可能であると判定するものの、融資担当者には十分な説明をしな ければならないでしょう。 信用保証協会は、なぜ赤字になったのか赤字の発生原因を調査します。 ● 一時的原因の場合・・・資金繰り表を作成し短期的に回収可能か否かを売上の推 移と併せて判定 ● 構造的原因の場合・・・決算内容を分析し、長期的償還能力を判定 ☆2 自己資本がマイナスかどうか! 信用保証協会は、提出された決算書を全てそのままでは資料として使用しません。融資 する目的のために修正しますが、特に貸借対照表を重視し、実態を表わすようにして、そ の後、保証の可否を行います。 では、どのように修正するのかを下記の表で説明しましょう。 提出された貸借対照表(修正前)を信用保証協会が精査すること、(イ)売掛金のうち、 1,000万円は回収不能なものが含まれていた、(ロ)不動産を時価評価すると半額であ った(ハ)同様に有価証券の評価は4,000万円であった。 このことを修正した結果、実態は2,000万円の債務超過であった、となります。 さて、貸借対照表の自己資本がマイナスという意味は、他人資本(返さなければならな い資金)で経営を行っているわけですから、極めて企業が不安定な状態にあるといえます。 そこで、このような場合、信用保証協会はいつまで自己資本がプラスになるのかを検討 します。通常。プラスへの転換(債務超過がなくなる)にかかる期間が1〜2年の場合は安 心して保証しますし、5年かかる場合は注意しながら保証を行っていくことになります。 ■ 実態貸借対照表のつくり方 1
■ 実態貸借対照表のつくり方 2 ケース 経常利益(単位:千円) A 1,000 債務超過がなくなるのに20年かかる B 4,000 債務超過がなくなるのに5年かかる C 20,000 債務超過がなくなるのに1年かかる 中小企業経営者の中には、最近の銀行員の融資判断に首をかしげる方も多いようです。 融資担当者は貸出しにあたって、答えはイエスかノーだけであり、条件面での交渉に余 地のない硬直的姿勢が目立つからです。 元・銀行審査部長の方は、このことについて次のように話します。 「一人前の審査能力を身につけるにはほぼ10年くらいかかる。企業数としては100社 程の融資経験が必要である。しかし、銀行は昭和48年以来、融資担当者を育ててこな かった」。さらに続けて、「決算書の貸借対照表から安全性を見る。一方、損益計算書よ り企業の成長性を判断する・・・。つまり、審査に自信があれば、純資産の部が過少とか 債務超過であっても損益計算の部が良好であれば、企業は必ずしもつぶれないと判断 もでき、貸出しを実行するのである」。 融資担当者は、安全性ばかり目を向けず、幅広い視野をもって企業を見るよう心掛け てもらいたいところです。 |
| 事務所便り 8月号/平成19年 |