● 経  営    再建できる企業かどうかのポイント
    
    
  取引先に経営状態が厳しい企業があります。再建できるかどうかアドパイスできるかどうか
      アドバイスできることがあれば、そのポイントを教えてください。

    
 【再建可能性の判断材料】
      次の企業は倒産の可能性が高いと思われます。
       @ 二期以上赤字が続いている。
       A 自己資本のマイナスが総資産の10パーセント以上になっている。
       B 支払い金利が売上の5パーセント以上になっている。
       C 長期借入金の1年以内返済額が税引利益と減価償却費の額を大幅に上回っている。
       D 仕入債務の支払いが遅延してきている。
       E 損益分岐点の売上が現状の10パーセント以上高い。

       倒産に瀕した企業の症状は、直接的な減少として資金繰りの悪化となって現れるため、まず
      資金繰りの悪化を克服しない限り、再建に取り組んでも途中で倒産してしまう恐れがあります。
       したがって、再建可能と判断される企業に対しては、「資金繰りの改善」と収益力確保のた
      めの「企業の体質改善」を図ることが大切です。

   
− 資金繰りの改善 −
       
       収益力があり、資産が負債を上回っている企業でも、収支のバランスがとれずに倒産に追
      い込まれるところもあります。
       応急措置としては、資金繰りの改善を行うことになりますが、特に次の点に留意すべきです。

       イ) 支払うべき債務額の確定
       ロ) つなぎ資金の手当て
       ハ) 担保設定状況の見直し

      イ) 支払うべき債務額の確定
         倒産の危機に瀕した緊急時においても、今すぐ支払わなくてもよいような支払いが資金
        繰りを一層悪化させている場合があります。当面の危機を乗り切るためには、こうした先
        を洗い出し、真に支払わなければならない金額を減少させ資金繰りを少しでも楽にするこ
        とです。
       【支払うべき債務額の確定手順】
       @ 総債務額の確定
          一週間、一ヶ月、三ヶ月と期間を区切り、それぞれの期間内に返済期限が訪れる総
         債務額を確定します。
       A 支払い先の吟味
           事業継続に不可欠な支払い先、不要不急な支払い先など、支払い先の吟味を行い
         ます。事業継続に必要不可欠な支払い先への支払いを優先すべきですが、高利の借
         入れがある場合には、他の金融機関の返済を金利のみにしてでも極力返済し、早急
         に手を切るべきです。
       B 支払い猶予の可能性の検討
          事業継続に不可欠な取引先でも企業の危機状況を十分説明すれば支払い猶予を認
         める可能性もあります。先方と誠心誠意折衝してみる必要があります。
       C 支払うべき必要最少限度の金額の確定
          最後にA、Bの結果を踏まえ、それぞれの債権者の人数、金額を支払い時期別に集
         計し、支払うべき必要最少限度の金額を確定します。

      ロ) つなぎ資金の手当て
          企業が生死をかけた中での資金調達ルートは下記の表のように整理できます。

        ○経営者の個人資産の投入が最も手っ取り早い方法ですが、現実的には、すでに個人
          資産を投入しているケースが多い。

        ○親類や友人・知人からの借入れは、企業の状況からではなくその経営者自身に貸す
          場合が多く、結果として善意の債権者に過大な迷惑をかけることにもなる。

        ○親企業や懇意の取引先からの借入れは、企業の内情に詳しく、現状や今後の見通し
          もある程度判断できるため、計画を明らかにし説得すれば承諾してもらえる可能性は
          高い。しかし、見返りを求められたり、経営権に介入するなども相手によってはありえ
          ることも考慮しておく。

        ○手持ち在庫品の売却や売掛債権の早期回収は、相手先に不安を抱かせるのであまり
          期待できない。しかし、実情を話して理解してくれる取引先に対しては、一部値引きして
          も製品を引き取ってもらったり、債権の一部でも早めに支払ってもらうよう働きかけるの
          は資金を借りるより有望な方法。

        ○金融機関からの資金調達も、すでに目一杯借りている場合や、これまで約定どおり返済
          していないとか事業内容も日頃よく説明していないなど日頃の取引振りがよくないと、民
         間金融機関に対してよほど明確な計画や展望を示さない限り、このような応急な場合での
         つなぎ資金の借入れは難しい。
人的ルートの利用  ○経営者の個人資産の投入
 ○友人・知人・親戚等からの借入れ
日常の取引から  ○親企業・親しい取引先からの借入れ
 ○製品、原材料等の在庫売却
 ○売掛債権の早期資金化
金融機関から  ○金融機関からの借入れ
   (特別融資含む)
      ハ) 担保設定状況の見直し
          担保物権の価値に対する抵当権の設定額の状況などを見直し、担保物権が有効に利
        用されているか調べる必要もあります。

   − 企業体質の改善 −

        経営がおもわしくない企業は、一時的に資金繰りをつけることによって、当面の危機は回
       復できても、実情は、資金繰りが破綻に瀕している企業と考えられるので、支払い能力面に
       問題を抱えているものとみなければなりません。
         この企業が、本当に立ち直るためには、企業自身が、収益(経常利益)を生み出す構造を
       持つように体質改善することが必要です。企業が利益を上げる体質となるよう経営面で改善
       するポイントとしては以下の点があげられます。

       @ 売上高を量によって伸ばす(受注量の確保)
       A 売上単価を上げる(価格への転嫁)
       B 原価を下げる(コストダウン)
       C 販売管理費、一般管理費の削減
       D 営業外の費用や損失を少なくする

        体質改善の方法は上記のような方法がありますが、企業にとって実効しやすいものと実行
       しにくいものとがあります。
        上記@〜Bは、倒産を回避したばかりの企業にとっては、体力が低下していることや取引
       先との信頼関係などから実行が難しいでしょう。したがって、企業の体質改善に当たっては、
       まず、どこに根本原因があるかを見極め、根本原因を除去する上で最も手をつけやすい面か
       ら実行していくこととなります。
        財務面では経営基盤の強化のため、支払い猶予中の債権の処理に手をつける必要があり
       ます。
        支払い猶予中の債権処理方法としては、@遊休資産の売却による返済、A長期借入金へ
       の転換、B借入金の資本振り替え、などがあげられます。
        原価管理面では、不良品によるロス、材料ロスなどを少なくし、歩留まりを高める、部品の標
      準化、外注管理の強化等管理の徹底を図ります。
        販売・一般管理費の削減のためには、まず役員報酬や給与の削減、人員の見直しを図り、
      適材適所の配置、余剰人員の削減を進めます。さらに交際費等諸経費のきめ細かな管理を
      行います。
        こうした内部固めにより、企業体力がある程度回復した段階で取引先と売掛債権の早期回
      収、製品の単価アップ、販路の拡大等に着手することになります。

 ● 税  務    最新税務調査 Q&A
    
    秋は税務調査の最も多いシーズンです。そこで、最近の税務調査についてQ&A方式でポイントを
   整理してみます。

    1 税務調査の意味
     Q なぜ税務調査は行われるのですか?

     A  日本の納税制度は自主申告が原則となっており、自分が納める税金について、税法に基
       づいて自分で所得額と税額を計算し、自分で申告することになっています。
         しかし、全ての納税者が正確な申告を行っているとは限りません。そこで、課税の公平を
       維持し、民主的な申告納税制度を守るために、納税者が申告した内容が正しいかどうかを
       確認することが必要となります。これが税務調査です。
         税務調査が行われるサイクルは、3〜5年に1回というケースが一般的です。また、新設
       法人の場合は、3年後に税務調査が行われる可能性が高いと言われています。ただし、業
       種や税歴によっては2年連続で税務調査が行われるケースもあり、逆に10年間行われない
       ことももあるなど、その法人によって様々です。特に脱税などの不正があった場合や悪質な
       法人に対しては、重点的に税務調査が行われる傾向があります。

    2 調査先の選定
      
税務調査を受けるのは申告法人の6%程度と言われていますが、税務署はどのように調
      査対象法人を選定しているのですか?

      平成12年7月から、法人をA、B、Cの3グループに区分して調査を行う仕組みに変更して
      いるようです。
       Aグループは申告・納税の実績が良好な法人で、Cグループは調査の対象として注目する
      法人、Bグループはこれらのいずれにも属さない法人です。
       調査先を選定する過程では、次のような準備調査が実施されます。
       第一次調査選定作業としては、過去数年の申告内容や調査状況が記録された税歴簿、確
      定申告書
に添付して提出された事業概況説明書などが審理されます。
       続いて、第二次調査選定作業として調査担当者が事業内容や財務上の問題点についてチ
      ェックし、必要に応じて外観調査を行います。そして、必要が認められれば、実地調査に展開
      します。
       なお、第三者による通報や内部告発をきっかけに税務調査が行われるケースも少なくない
      ようです。一般的に調査対象になりやすい会社の特徴としては、次のような点が挙げられます。
       @ 決算書の売上高、利益等が大きく変動している会社
       A 福利厚生費が多すぎる会社
       B 前回の調査から3年以上経過している会社
       C 個人借入金が大幅に変動している会社
       D 大きな設備投資を行った会社
      
    3 売上調査のポイント
       実地調査の大半は売上調査に充てられるそうですが、どのあたりがポイントとなるのですか?

       主な着眼点を挙げると、次のようになります。
      (1) 売上げは、現金売上か掛売上かが確認され、特に現金売上については、その売上計上
        が正しいかどうかが売却商品等によって検討されます。
      (2) 収益の計上時期が最重要ポイントになります。
          会社の営業収益の計上は、原則的には、収益が実現したときに計上することになります。
          具体的には、「引渡しのあつた日」に計上すべきなのですが、実務上、請求日や入金日に
        計上している例が数多くあり、引渡日と請求日や入金日の間に決算終了日が入ると税務上
        トラブルになり、売上計上漏れとなるので注意が必要です。
   
    4 消費税の調査
       消費税の調査が厳しくなっているそうですが、本当ですか?

       平成15年度の消費税法改正に伴い、基準期間における課税売上高の免税点が3千万円か
       ら1千万円に引き下げられたことで、免税事業者から課税事業者となった者もいることから、
       調査も厳しくなっているようです。
        また、赤字会社でも税務調査の対象となりますので、消費背税に関する帳簿と請求書等を
       しっかり保存しておく必要があります。

    5 新しい調査ポイント
       新しい税務調査ポイントとして、何かありますか。

       平成18年度税制改正の「特殊支配同族会社」の判定や定期同額給与等役員給与に関する
       実態把握も今後の大きなポイントになりそうです。


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事務所便り 10月号/平成19年
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