「不況」の読み方 (通算第83号/2012-05-01)
- 仕事柄、中小企業を長期に渡って直撃している「不況」について真正面から取り組まなくてはならない
ことが多々あります。そこで、今回は「不況」をテーマに取り上げたいと思います。 - まず、経済の様子を「景気」と言いますが、この「景気」には4つの局面があります。 ① ピーク時の「山」
②下降時の「後退」 ③最悪時の「谷」 ④上昇時の「回復」です。これらのリズムを「景気循環」と言い
②の景気後退局面を「不況」と呼びます。 - 「景気」の判定にあたっては、GDP(国内総生産)をはじめ家計消費、百貨店売上、住宅着工件数、企業
の設備投資、政府の公共投資、税収、貿易収支など複数データに基づいており、公的な景気判断として
は、政府発表の「月例経済報告」と日銀発表の「金融経済月報」の二つが挙げられます。 - ちなみに最新の景気判断(平成24年4月)として、「月例経済報告」では、「景気は、東日本大震災の影響
により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している。」としており、他方で「金融経済月報」
では、「わが国の経済をみると、なお横ばい圏内にあるが、持ち直しに向かう動きがみられている。」(H24.4.11)
と発表していました。いずれも慎重な表現ですが、大局的に見て現状が「不況」の局面にあることは間違いな
さそうです。 - さて先日、講談社が発行している「不況の教科書(売れない時代の考え方生き方)」と言うMOOK(雑誌と書籍
の中間)を入手しました。当代の25名のエコノミスト達がそれぞれの切り口で「不況」への指針を示しており、
一読をお奨めしたいと思います。 - とりわけ私が関心を持ったのが10講目で吉本佳生氏(エコノミスト)が担当されていた「価格を下げればいい
のですか。」でした。「コロンブスの卵」かも知れませんが、事業者なら肝に持つべき考え方だと確信しました。
最後に結論部分を引用して紹介したいと思います。
「日本の人口はどんどん減っていく。・・・中略・・・ 発想の転換が必要です。先ずは高い値段をつけて、
それに見合ったサービスをいかに提供するかと考えるべきなのです。」