事務所便り

2010年 3月号

 

  ● 税  務 平成22年度< 税制改正(案)のポイント - 

     
平成22年度税制改正(案)は、厳しい財政状況を踏まえつつ、支えあう社会の実現に必要な財源を
    確保するためには、経済・社会のの構造変化に適応した税制が必要との観点から講じられています。
     以下、主な改正項目を整理してみました。

     《タイムスケジュール》
      主なものを整理すると、図表1のようになります。

図表1 改正タイムスケジュール
平成22年 1月 住宅取得時の贈与税非課税枠の拡大
4月 15歳以下世帯 子ども手当半額支給(月額1.3万円)
16~18歳世帯 高校授業料の無償化
特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度の廃止
10月 たばこ税引き上げ
平成23年 1月 所得税の年少扶養控除の廃止
所得税の特定扶養控除の縮小
4月 15歳以下世帯 子ども手当支給(月額2.6万円)
平成24年 1月 非課税口座開設認可
生命保険料控除り改組
6月 住民税の年少扶養控除の廃止
住民税の特定扶養控除の縮小

          ☆手当  ○減税  ●増税

   1 個人所得課税

    
 (1) 扶養控除の見直し
        年少扶養親族(16歳未満)の扶養控除が廃止されます。また、特定扶養親族(16歳以上23歳
       未満)のうち、16歳以上19歳未満の扶養控除の上乗せ部分(25万円)が廃止され、扶養控除額
       は38万円となります。

     (2) 同居特別障害者加算の特例の改組
        扶養親族又は控除対象配偶者が同居の特別障害者の場合、扶養控除又は配偶者控除の額
       に35万円を加算する措置について、年少扶養親族の扶養控除の廃止に伴い、特別障害者控除
       額に35万円を加算する方式に改められます。
       ※ 地方税についても、前記1、2に準じた措置が設けられています。

     (3) 金融証券税制
        非課税口座(平成24年開設)内の少額上場株式等に係る配当所得の非課税措置の創設
        非課税口座(開設できるのは満20歳以上で、1人につき1年一口座に限定)から支払を受ける
       配当等については、年100万円まで所得税及び個人住民税を課さないこととされます。

     (4) 特定居住用財産の買い替えや交換の場合の課税特例
        譲渡資産の対価が2億円以下であることを要件に追加し、適用期限が2年延長されます。
     (5) 子ども手当、高校の実質無償化、父子家庭に支給する児童扶養手当、求職者支援給付、失業
       手当

        所得税が非課税とされます。
     (6) その他
        生命保険料控除の改組や、小規模企業共済制度・中小企業退職金共済制度、確定拠出年金
       制度等で見直しが行われます。

   2 法人課税

    
 (1) 特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入
        いわゆる1人オーナー会社課税制度を廃止します。具体的には、平成22年4月1日以後に終了
       する事業年度から適用されないことになります。
     
(2) 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(30万円未満)
        適用期限が2年延長されます。
     
(3) 中小企業投資促進税制
        適用期限が2年延長されます。
     
(4) 交際費等の損金不算入制度
        適用期限を2年延長するとともに、中小法人に係る損金算入の特例の適用期限も2年延長され
       ます。

   3 資産課税
     

     
(1) 住宅取得時の贈与税非課税枠の拡大
        直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置が次のように改
       正されます。
       ① 非課税限度額(現行500万円)が次のように引き上げられます。
        (イ) 平成22年中の贈与 1,500万円
        (ロ) 平成23年中の贈与 1,000万円
       ② 適用対象者が、贈与を受けた年の合計所得金額2,000万円以下の者に限定されます。
     
(2) 相続税の障害者控除
        控除額の算出に用いる年数が相続人等が85歳(現行70歳)に達するまでの年数とされます。
     
(3) 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
        相続人等が相続税の申告期限まで事業又は居住を継続しない宅地等(現行200㎡まで50%
       減額)を、適用対象から除外するなど見直されます。
        この改正は、平成22年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する小規模宅地等に係る相
       続税から適用されます。

   4 消費課税

     (1) 燃料課税
       ① 揮発油税、地方揮発油税及び軽油引取税に係る現行の暫定税率が廃止されます。
       ② ただし、原油価格が安定しており地球温暖化対策との関係もあることから、当分の間、揮発
        油税、地方揮発油税及び軽油引取税は、現在の税率水準が維持されます。
     
(2) たばこ税
       ① 国と地方のたばこ税が引き上げられます(図表2参照)。
       ② 平成22年10月1日から適用されます。

図表2 たばこ税の引き上げ
. . 現行 改正案
国のたばこ税 1,000本につき 3,552円 5,302円
地方のたばこ税 4,372円 6,122円
道府県たばこ税 1,074円 1,504円
市町村たばこ税 3,298円 4,618円
合 計  7,924円 11,424円

        (注)過去の実績からすれば、1本につき5円程度の価格上昇が見込まれます。
   

      


       

所長 堀 裕彦 中小企業庁“ちいさな企業

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