事務所便り

2014年 6月号

● 税  務 ― 平成26年度 中小企業関係の税制改正 ~設備投資関係~

   平成26年度税制改正では、我が国の大部分を占める中小企業者等に対する税制措置の創設や拡充などが
  図られています。その中から中小企業関連の設備投資減税について見ていきます。

Ⅰ 生産性向上設備投資促進税制の創設
 1 制度の概要
   産業競争力強化法の税制支援措置として、青色申告書を提出する法人が、同法の施行日(平成26年1月
  20日)から平成29年3月31日までの間に、生産等設備を構築する先端設備又は生産ラインやオペレー
  ションの改善に資する設備として同法に規定する生産性向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上
  のものの取得等(表参照)をして、国内の事業の用に供した場合には、取得価額の50%(建物及び構築物は、
  25%)の特別償却と取得価額の4%(建物及び構築物は2%)の税額控除(法人税額の20%が限度)との選
  択適用ができる生産性向上設備投資促進税制が創設されました。
   また、平成28年3月31日までの間に取得したものについては、普通償却限度額との合計でその取得
  価額までの特別償却(即時償却)と取得価額の5%(建物及び構築物は3%)の税額控除との選択適用ができ
  ます。

一定規模以上の設備
機械装置 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
工具及び器具備品 それぞれ1台又は1基の取得価額が120万円以上
のもの(それぞれ1台又は1基の取得価額が30万
円以上で、かつ、一事業年度におけるその取得価
額の合計額が120万円以上のものを含む。)
建物、建物附属設備及び構築物 それぞれ一の取得価額が120万円以上のもの(建
物附属設備については、一の取得価額が60万円
以上で、かつ、一事業年度におけるそのその取得
価額の合計額が120万円以上のものを含む。)
ソフトウェア 一の取得価額が70万円以上のもの(一の取得価額
が30万円以上で、かつ、一事業年度におけるその
取得価額の合計額が70万円以上のものを含む。)

 2 対象設備
   先端設備とは、先端性に係る設備要件を満たす機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物
  及びソフトウェアを指し、ソフトウェアについては、中小企業者等が取得等をした場合に限られます。
   なお、先端性に係る設備要件とは、次のいずれにも該当するものです。
  ・ 最新モデル(例 機械装置10年以内、器具備品6年以内、ソフトウェア5年以内に発売されたものなど)
  ・ 旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が平均1%以上向上するもの
   ただし、機械装置のうち中小企業者等が取得等するソフトウェア組込型機械装置に関しては、10年以内に
  販売が開始されたもので最新モデル及び最新モデルの一つ前のモデルとし、ソフトウェアには、旧モデル比の
  生産性向上要件は不要とされています。
   一方、生産ラインやオペレーションの改善に資する設備とは、生産性向上に係る要件を満たすことについ
  て、経済産業局の確認を受けた投資計画(投資利益率15%(中小企業者等は5%以上))に記載された機械装
  置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物及びソフトウェアとされています。

 3 適用関係
   平成26年1月20日から平成29年3月31日までの間に生産性向上設備等を取得し、事業の用に供した
  場合に適用されます。

Ⅱ 中小企業投資促進税制
 1 制度の内容
   青色申告書を提出する中小企業者等(資本金1億円以下)が、一定の機械・装置等を取得し、国内にある事業
  の用に供した場合には、その事業の用に供した事業年度に普通償却に加え基準取得価額の30%相当額の特別
  償却を上乗せできるものです。また、特定中小企業者等(資本金3千万円以下)の場合は、特別償却に代えて基
  準取得価額の7%相当額の税額控除との選択適用が認められています。

 2 改正の内容
   適用対象に、平成26年1月20日から平成29年3月31日までの間に、生産性向上設備投資促進税制に
  おける特定生産性向上設備等を取得又は製作し、その指定事業の用に供した場合に、上記の措置の適用を受け
  ないときは、その用に供した日を含む事業年度において、その取得価額から普通償却限度額を控除した金額ま
  での特別償却(即時償却)と取得価額の7%相当額の特別税額控除との選択適用ができる措置が、特定中小企業
  者等にも追加されました。
   また、特定中小企業者等がその指定事業の用に供したものについては税額控除の割合が、7%から10%へ
  拡充されました。
   なお、特別税額控除額については、改正前の措置と合計して当期税額の20%相当額を限度とし、控除限度
  超過額は1年間の繰越しができることとされています。

 3 適用関係
   この改正は、平成26年1月20日以後に特定生産性向上設備等の取得又は製作をする法人の平成26年4
  月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用されます。また、平成26年4月1日前に終了した事
  業年度において平成26年1月20日から同年3月31日までの間に、特定機械装置等のうち特定生産性向上
  設備等に該当するものの取得等をし、指定事業に供した場合には、平成26年4月1日を含む事業年度におい
  て、前期の措置と同様に特別償却相当額又は特別税額控除相当額の償却又は繰越税額控除ができます。

Ⅲ 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
 1 制度の内容
   中小企業者等の取得価額30万円未満の減価償却資産(建物、機械装置、器具備品、ソフトウェア等)を対象
  に全額即時損金算入を認める措置です。

 2 改正の内容
   中小企業のパソコンや経理事務ソフトウェアなどの少額減価償却資産の投資の促進やパソコンのОS「ウィ
  ンドウズXP」のサポート期限が切れることに伴うパソコン、ソフトウェア等の入替えの対応を図るため、適
  用期限が2年延長されました。

 3 適用関係
   平成28年3月31日までの間に取得し、事業に供した減価償却資産について適用されます。

       

所長 堀 裕彦 中小企業庁“ちいさな企業

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